令和3年度新興国等におけるエネルギー使用合理化等に資する事業(マルチ枠組における国際動向調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度において新興国等におけるエネルギー使用合理化等に資する事業として実施されたマルチ枠組における国際動向調査について書かれた報告書である。世界的なエネルギー需要の増大や地球温暖化問題の深刻化に対して、省エネルギーの推進及び再生可能エネルギーの導入拡大が先進国・途上国問わず有効な手段として位置づけられている。日本は省エネルギー及び再生可能エネルギー分野において先進的な取組を行ってきた実績と強みを有しており、この経験を国際社会と共有し国際的な取組においてリーダーシップを発揮することが期待されている。本事業では国際エネルギー機関、国際再生可能エネルギー機関、クリーンエネルギー大臣会合、アジア太平洋経済協力等のマルチ枠組の活動に積極的に関与し、各国との関係を強化するとともに国際動向についての情報収集を行った。2021年は世界的なエネルギー価格の高騰により省エネが第一に取り組むべきエネルギー源として再認識され推進が強化された年である。欧州委員会は建築物のエネルギー効率指令の改訂版案を提示し、既築の住宅・建築物の省エネ改修促進や新築建築物のゼロエミッション化を目標とした。再生可能エネルギー分野では2020年から2021年にかけて高水準での再エネ発電設備の導入が続き記録を塗り替えた。世界全体の再エネ導入量は2020年に260GWという記録的な増加を示し、2021年にはさらに280GWに達した。太陽光と風力が全体の9割を占める構造となっており、特に太陽光の増加が著しい。世界主要国が2050年カーボンニュートラル達成へのコミットメントを宣言し、脱炭素社会形成に向けた動きが急加速している。この中で再エネを起源とするグリーン水素とアンモニア等の派生物の重要性が高まっており、日本が世界をリードする分野として期待されている。
