令和3年度新興国等におけるエネルギー使用合理化等に資する事業(リトアニア国の洋上風力導入に伴うオフショアグリッド計画・設計調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、リトアニア国の洋上風力導入に伴うオフショアグリッド計画・設計調査について書かれた報告書である。東京電力パワーグリッド株式会社が資源エネルギー庁の委託により実施した、令和3年度新興国等におけるエネルギー使用合理化等に資する事業の一環として、リトアニアにおける洋上風力発電の電力系統接続方法の最適化を検討している。
調査では、洋上風力発電開発を4段階に分けて想定し、第1段階における既存グリッドへの接続方法について、直流方式(HVDC)と交流方式(HVAC)の比較検討を行った。具体的には、ケーブル仕様の特定、送電容量の検討、費用便益分析、信頼性の評価を実施している。コストデータ収集においては、変電設備、プラットフォーム、海底・地中ケーブルの仕様と原単位コストを整理し、ボトムアップ方式による詳細なコスト試算を行った。
第2段階から第4段階における有力なグリッド構成については、全段階をHVDCとする構成案と、HVACとHVDCを組み合わせた構成案の13パターンを検討した。各パターンについて経済性比較を行い、初期投資費用、発電機会損失、送変電損失、年間経費を総合的に評価している。さらに、オフショアグリッドを国際連系線として活用した場合の電力取引市場における経済便益についても分析を実施した。
民間投資への開放可能性についても調査し、法的要件、経済的インセンティブ、想定される効果と課題を分析している。地政学的リスク、経済的リスク、技術的課題を整理し、再生可能エネルギー発電投資やTSO、DSOへの資本参加の可能性を検討した。国内外のオフショアグリッドに関する技術動向調査では、欧州における関連政策、開発計画、技術動向を詳細に調査している。風力タービンの大型化、浮体式洋上風力発電、洋上風力発電所での水素製造といった最新技術についても言及している。最終的に、第1段階の洋上風力発電の既存グリッドへの接続方法と、第2段階から第4段階の有力なグリッド構成について具体的な提言を行っている。
