令和3年度新興国等におけるエネルギー使用の合理化等に資する事業(アジア等における我が国洋上風力産業海外展開可能性調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、アジア等における我が国洋上風力産業海外展開可能性調査について書かれた報告書である。洋上風力市場の先進国であるデンマーク、ドイツ、オランダ、英国、台湾における入札制度の仕組みと運用状況を詳細に分析している。デンマークでは1991年に世界初の洋上風力を導入して以来、エネルギー合意に基づいて洋上風力開発が着実に進められており、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目標とした政策が推進されている。入札制度では事前資格審査を通じて強固なファイナンス体制と洋上風力事業経験が求められ、最低価格による選定が行われている。ドイツでは2017年から洋上風力専用の入札制度が導入され、年間約700MWの開発容量で入札が実施されており、事前開発された区域での入札が特徴である。オランダでは政府主導による海域選定と詳細な事前調査が行われ、開発リスクの軽減が図られている。英国では差額決済契約制度を採用し、技術中立的な入札において洋上風力が競争力を示している。台湾では2025年までに5.7GWの洋上風力導入目標を掲げ、固定価格買取制度から入札制度への移行を進めている。ベトナムやフィリピンなどアジア諸国では洋上風力政策の制度整備が進展しており、市場拡大が期待されている状況が報告されている。各国の入札制度には共通して事前資格審査、価格競争、系統接続条件、ペナルティ制度が設けられており、洋上風力産業の海外展開における重要な参考事例となっている。
