令和3年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費報告書(「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」及び「革新的環境イノベーション戦略」の実行に向けたスタートアップ及び大学連携推進等に係る調査)
報告書概要
この報告は、経済産業省が2050年カーボンニュートラル実現に向けて委託したエネルギー・環境分野のスタートアップ支援とCNマネジメント人材育成に関する調査報告書である。調査は有限責任監査法人トーマツとデロイトトーマツコンサルティング合同会社が実施し、グリーン成長戦略の実行に向けた具体的な方策を検討している。
第1章では、国外エネルギー・環境分野のスタートアップ約120社を対象とした実態調査を行った。TechHarborやGlobal Cleantech 100等のデータベースから企業を抽出し、化石燃料に頼らない発電、エネルギー有効利用、省エネルギー、サーキュラーエコノミー、次世代モビリティなど7つの事業分類で類型化した。有望スタートアップのビジネスモデル分析、創業期からPMF確立期における成功・失敗要因の分析を実施し、ベンチャーキャピタルや企業へのアンケート調査により投資環境の課題を把握した。
第2章では、カーボンニュートラル実現に必要なCNマネジメント人材の育成方策を検討した。国内外の文献調査、関係者へのヒアリング、実際の勉強会開催を通じて人材要件を明確化し、ミドルマネジメント層を対象とした育成カリキュラムを設計した。プログラムは意識醸成の必須科目と実践的な選択科目で構成され、前者では問題意識の深化と自分事化を図り、後者では組織内外で活躍する人材に分けて専門スキルを習得させる内容となっている。組織内人材向けには経営企画、人材開発、技術経営の3領域、組織外人材向けには協調的リーダー育成とビジネスプロデュース能力の向上を重視している。
調査結果から、日本のエネルギー・環境分野スタートアップは他分野に比べ投資額が小さく、国際競争力のある企業が育っていない現状が明らかになった。成功要因として機動的な開発・社会実装能力、業種横断的な取り組み、大企業との連携が重要であることが判明し、政策支援の必要性が確認された。
