令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(スポーツ産業におけるコンテンツやデータビジネス拡大に向けた調査事業)調査報告書

掲載日: 2023年4月18日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループサービス政策課
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令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(スポーツ産業におけるコンテンツやデータビジネス拡大に向けた調査事業)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、スポーツ産業におけるコンテンツやデータビジネス拡大に向けた調査事業について書かれた報告書である。

近年、eスポーツの市場拡大やファンタジースポーツの登場により、スポーツコンテンツやデータを活用したビジネスが広がりを見せている。選手のキャラクターには実際のプロ選手の写真や試合映像が活用され、ファンタジースポーツでは実際のプロスポーツの試合におけるスタッツデータや選手のパフォーマンスデータを活用してその勝敗を決するなど、活用内容は多様化している。一方で、スポーツにおけるコンテンツやデータの二次利用も含めた権利関係の在り方については必ずしも体系的な整理がなされておらず、リーグやチームがケース毎に個々に対応している現状があり、対価も支払われないまま活用されている可能性も指摘されている。

本調査では、デジタル資産(NFT)、デジタル資産(スポーツトークン)、スポーツベット、ゲーム(ファンタジースポーツ等)、放送・配信という4つのビジネスケースについて市場概況、主なステークホルダーと商流を把握し、国内法における論点を整理している。デジタル資産分野では、NBA Top Shotなどのデジタルトレカビジネスが台頭しており、2020年10月のサービス開始から2022年3月時点までの総取引額は約906百万ドルに及んでいる。スポーツトークンについては、クラブ等が資金調達の手段としてブロックチェーン技術を用いたトークンを発行するケースが増加し、57種類のスポーツトークンが流通している。スポーツベットの市場については、米国で掛金総額が572.2億ドル、ブックメーカー事業者が得た収益は約42億ドルと算出されている。

各ビジネスケースにおいて法的な論点として、金融商品取引法、資金決済法、賭博罪、景品表示法等について検討がなされ、特にNFTのランダムパック販売における賭博罪該当性や、スポーツトークンの暗号資産該当性が重要な論点として挙げられている。肖像権・パブリシティ権についても、事業者が選手の肖像権・パブリシティ権を活用したサービスを展開する場合には、選手がクラブや球団等と締結する契約やリーグ規約等に基づきコンテンツホルダーから権利の許諾等を得ることが前提となると整理されている。

本報告書は、これらの分析を踏まえて、スポーツコンテンツやデータビジネス拡大に向けた具体的な提言を行っている。