令和3年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(メコン地域におけるLNG バンカリング事業の事業化可能性調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、カンボジア王国シアヌークビル港におけるLNGバンカリング事業の事業化可能性について書かれた報告書である。
国際海事機関の海洋汚染防止条約による規制強化により、2025年までに船舶燃料中の硫黄分を0.5%以下に抑えることが求められ、従来のディーゼル燃料と比較してSOxを99%低減できるLNGが船舶燃料として注目されている。DNV GLの推計によると、2030年までに60%の船舶燃料がLNGになると予想される中、アジア各国でもLNGバンカリング関連のアクティビティが強化されている。
カンボジアは急速な経済発展に伴う電力需要の急増に対応するため大型水力発電所や石炭火力発電所の開発を進めているが、乾期の渇水による発電量低下や石炭火力への資金調達困難により、天然ガス火力発電の拡大が最も現実的な解決策とされている。しかし同国にはLNGバリューチェーンの構築・維持に必要な技術的知見やノウハウ、安全な機材の運転・維持管理に関する人材が不足し、LNG・天然ガスに関する法規も十分に整備されていない状況である。
本事業では、シアヌークビル港湾公社が購入予定の二元燃料タグボート向けにLNGを供給するビジネスを想定し、日本国環境省の二国間クレジット制度設備補助事業での導入を視野に計画している。LNGは隣国タイのマプタプットLNG受入基地より陸上輸送でシアヌークビル港まで運ぶ計画であり、LNG輸入ライセンスを持つCNGCがPTTより購入し港湾公社へ売却する想定である。事業実施により同国他分野特に天然ガス火力発電への波及効果が期待され、LNG及び天然ガスユーザーの増加がカンボジアのクリーンな発展に寄与するものとなる。