令和3年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(洋上風力に係る官民連携の在り方の検討(洋上風力の導入拡大と産業競争力強化の好循環の実現に向けた検討等)のための調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、洋上風力発電の導入拡大と産業競争力強化に関する調査結果について書かれた報告書である。本調査では、洋上風力人材育成プログラムの検討、浮体式洋上風力の商用化課題、および洋上風力の導入拡大と産業競争力強化の好循環実現に向けた課題と解決策について包括的な分析が行われている。人材育成については、欧州のデータを基に日本の導入目標達成に必要な人材数を推計し、2030年断面で約1.2万人、2040年断面で約3.0万人の人材がフルタイム当量換算で必要であると算出された。また、洋上作業を伴う分野に限定すると、2030年で約0.6万人、2040年で約1.5万人の人材が必要となることが明らかとなった。さらに、国内外の風力分野における人材育成事例を調査し、海外では体系的な教育プログラムや認証制度が整備されている一方、国内では地域主導の取り組みが散見されるものの、包括的な人材育成体制の構築が課題であることが判明した。浮体式洋上風力については、海外における政策・市場・技術開発動向を調査し、商用化に向けた課題として技術的成熟度、コスト競争力、規制枠組みの整備等が特定された。洋上風力の公募制度に関する海外調査では、各国が多様な入札制度を採用しており、価格競争だけでなく、地域経済への貢献度や技術的実現可能性等を総合的に評価する仕組みが導入されていることが確認された。これらの調査結果を踏まえ、日本における洋上風力産業の持続的発展のためには、体系的な人材育成プログラムの構築、浮体式技術の実証支援、適切な公募制度の設計が重要であると結論付けられている。
