令和3年度戦略的基盤技術高度化支援事業(中小企業・小規模事業者向け研究開発支援事業における審査スキーム等の高度化・効率化に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、中小企業庁が実施する戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)における審査スキーム等の高度化・効率化に関する調査について書かれた報告書である。令和3年度のサポイン事業採択事務を実際に実施しながら、過去の調査事業の成果を活用し、審査業務の効率化・高度化を図るための調査・検証を行うことが目的とされている。
サポイン事業は平成18年度から実施されており、中小企業のものづくり基盤技術の高度化を支援する制度である。毎年300件を超える申請書に対して、外部有識者による全国採択審査委員会での総合的審査により採択を決定している。事前評価では多くの外部審査委員による評価が必要となり、申請書の取りまとめ、専門性を有する外部審査委員への適切な割り振り、評価結果の集計等の事務が発生している。
本調査事業は3つの主要な作業ブロックから構成されている。第一に令和3年度サポイン事業に係る採択事務の実施であり、新たな評価方法の導入検証、評価システムの整備、外部評価委員の委嘱から全国採択審査委員会運営まで15の作業を含んでいる。第二にフォローアップ調査等の実施であり、サポイン事業実施後の事業化状況調査を行っている。第三にサポイン事業関連業務の効率化・高度化を図るための調査・検証である。
令和3年度の審査では、従来の外部審査委員6名による評価点の単純平均に加えて、相互評価を踏まえた評価点の補正、技術分野審査委員の審査案件振り分け適正化の試行的取組を実施した。評価システムは約350件の申請書と約450名の外部評価委員が同時アクセス可能な仕様で整備され、セキュリティ対策も十分に実施されている。
フォローアップ調査では対象1,096件中、事業管理機関から914件、研究等実施機関から908件の回答を得た。調査データの活用・分析について、事業化達成率や投入予算に対する売上高比率などのKPI評価、事業化進捗状況の分析、採択・中間・最終評価データとの相補的リンクによる分析が提案されている。中間評価段階での実効性向上についても、要検討事案の特定から再評価ヒアリング、審査委員会への報告まで一連の改善提案がなされている。
