令和3年度鉱物資源の安定供給確保のための鉱物資源等取引環境の適正化に係る事業(鉱物資源を扱う事業者を対象とした実態把握調査)報告書

掲載日: 2023年4月21日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁資源・燃料部鉱物資源課
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令和3年度鉱物資源の安定供給確保のための鉱物資源等取引環境の適正化に係る事業(鉱物資源を扱う事業者を対象とした実態把握調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、宝石・貴金属業界におけるマネー・ローンダリング対策およびテロ資金供与防止のための監督方針について書かれた報告書である。

カーボン・ニュートラルの推進により、金、銀、プラチナなどの鉱物資源の重要性が高まっているが、これらの資源は安定資産としての金地金やコイン、宝石・宝飾品向けの用途も存在し、マネー・ローンダリングなどの不正取引の懸念が指摘されている。宝石・貴金属業界を対象とした業法が存在しないため、業界の実態が十分に把握できていないことが課題となっており、鉱物資源の安定供給体制を維持するため、業界特有の課題や実情を把握した上で国としての監督体制強化が必要である。

調査では、業界団体3団体と主要事業者7社が参加する検討会を2回開催し、個別ヒアリングも実施して業界の実態把握を行った。金の流通フローの検討を通じて、鉱山会社・商社、ジュエリーメーカー・卸・販売店、貴金属地金商、精錬会社、買取業者、リサイクル業者など、様々な事業者が存在することを確認した。特に一部の事業者は複数の機能を兼ね備えており、それぞれの事業規模やサービス内容に応じてリスクとその低減策が変わることが判明した。

実態把握の結果、各事業者は顧客管理、社内管理体制、取引時確認などの分野でリスク低減策に取り組んでいることが明らかとなった。顧客管理では、年間取引金額のモニタリング、反社チェック、紛争鉱物の回避、法人の事業内容確認などが行われている。社内管理体制では、複数人による販売可否判断、外部人材の活用、LBMA認証の取得などが実施されている。さらに監督方針案として、犯収法に基づくリスクベース・アプローチを加味した実効的かつ実務的な対策が提案されており、業界内での理解・周知を図るための資料も作成されている。