令和3年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(エネルギー転換に関する日独エネルギー変革評議会に係る調査)報告書

掲載日: 2023年4月21日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁長官官房国際課
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令和3年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(エネルギー転換に関する日独エネルギー変革評議会に係る調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、日独両国のエネルギー転換に関する共同研究と政策提言について書かれた報告書である。2021年度に実施された日独エネルギー変革評議会の活動を通じて、両国が2050年カーボンニュートラル目標の実現に向けた課題と協力方策を検討している。評議会は日本エネルギー経済研究所とドイツの研究機関が事務局を担い、専門家による定期的な会合とウェビナーを開催し、三つの重点研究分野を設定した。第一に、エネルギー多消費産業である鉄鋼産業の脱炭素化については、製造プロセス自体がCO2排出を伴うため技術的なハードルが高く、両国とも強力な鉄鋼産業を維持しながら排出量を極限まで削減する困難な課題に直面している。第二に、カーボンニュートラルにおける蓄電池の役割では、再生可能エネルギーの大幅導入に伴う電力システムの安定運用のため、住宅用蓄電池やBEV蓄電池をアグリゲートした仮想発電所としての活用可能性を検討し、リサイクルの重要性も指摘している。第三に、2050年に向けた長期シナリオ分析では、両国のカーボンニュートラルシナリオを比較し、エネルギーや技術のコスト、インフラ形成状況に応じた適切な選択肢の検討が必要であることを明らかにしている。報告書は、ウクライナ危機により地政学的リスクが高まる中で、エネルギー効率化と再生可能エネルギーが気候保護と同時にエネルギー安全保障の解決策となりうる「自由技術」であると結論づけ、両国間の研究協力の重要性を強調している。