令和3年度コンテンツ海外展開促進事業(Z世代におけるeスポーツおよびゲーム空間における広告価値の検証事業)報告書
報告書概要
この報告は、Z世代におけるeスポーツおよびゲーム空間における広告価値について書かれた経済産業省委託による調査報告書である。
Z世代は世界人口の約24%を占め、約15兆円の購買力を持つ主要な消費世代として位置づけられている。同世代はソーシャルネイティブであり、従来のテレビから動画共有サービスやSNSへと商品認知経路が変化し、インフルエンサーやコミュニティの影響を強く受ける購買行動を示している。特に他者からの影響を受けやすく自己実現欲求が強いため、認知から購買までの時間が短いパルス型消費が発生しやすい傾向にある。
Z世代のゲームに対するエンゲージメントは極めて高く、約8割がゲームを経験し、他の娯楽よりも多くの可処分時間を消費している。また、ゲーム実況や配信の視聴を好み、ゲームをコミュニケーションツールとして活用する傾向が顕著である。ゲームは単なる娯楽を超えてコミュニティ形成の場となり、人気配信者のチャンネル登録者数は約1.1億人、総動画再生数は約280億回に達している。
世界のeスポーツ市場規模は2024年に17億米ドルへ成長し、eスポーツ人口も5.8億人に到達する見込みである。日本においても政府や業界の後押しを受けて関連市場は700億円規模に拡大し、長期目標として3,000億円が設定されている。eスポーツのスポンサーシップは「選手・チーム」「イベント」「施設」という三つの形態があり、それぞれが異なるマーケティング価値を提供している。
調査では13社へのヒアリングを通じて広告効果を検証し、eスポーツ広告とインゲーム広告がZ世代の購買行動の態度変容に有効であることが確認された。成功のポイントとして、ユーザー体験に組み込まれた広告展開、長期的なファンコミュニティとの関係構築、好きなコンテンツに対する信頼の活用、選手応援の気持ちを支援する広告展開が挙げられている。一方で、パブリッシャーの動向やゲーム規制といった外的リスクや経営戦略・財務・コンプライアンスといった内的リスクへの対策も重要である。
