令和3年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業委託費(タイ王国カーボンニュートラル政策の推進と連動したMap Ta Phut新スマート工業団地における水素等クリーンエネルギーを活用したインフラ開発調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、タイ王国のカーボンニュートラル政策推進と連動したMap Ta Phut新スマート工業団地における水素等クリーンエネルギーを活用したインフラ開発調査について書かれた報告書である。
タイには5,700社以上の日系企業が進出しており、東南アジアにおいて日本の最重要経済パートナーとなっている。タイ政府は新型コロナウィルスの影響による経済復興と今後の成長に向けて、バイオ、サーキュラー、グリーンからなるBCG戦略を表明し、カーボンニュートラル実現に向けた体系的なエネルギー政策とロードマップの策定を進めている。タイのエネルギーミックスは6割以上がガス火力であり、国内ガス田のピークアウトを見越した電源多様化が課題となっている。そのため再生可能エネルギーへの期待が高いものの、風力拡大は限定的であり、太陽光やバイオマスが注目される一方で、水素活用の議論は未だ途上段階にある。
このような背景のもと、タイ政府は同国のカーボンニュートラル実現を念頭に置いた新たなエネルギー基本計画策定に向け、日本政府との協働対話を進めており、2021年2月にはタイエネルギー省から経済産業省に協力要請書簡が発出されている。本調査では、東部経済回廊に位置するMap Ta Phut工業団地に隣接してタイ工業団地公社が2025年開業を目指すスマートパークを協力フィールドとして、水素等クリーンエネルギー技術の適用可能性を検証した。
調査結果として、スマートパークにおけるエネルギー供給事業の全体コンセプト案を策定し、太陽光発電、バイオガス発電、副生水素などクリーンエネルギーの調達方法を検討した。エネルギー需要についてはテナント施設とモビリティの両面から試算を行い、エネルギー供給量とのバランス分析を実施した。経済性検討では想定導入インフラのコストを積み上げて電力価格を試算し、CO2排出抑制量の定量的評価を行った。さらに、タイ工業団地公社との継続的なコミュニケーションを通じて協力覚書を締結し、今後の事業化に向けたスケジュールと体制を整備した。
