令和3年度原子力産業基盤強化事業 原子力の利用状況等に関する調査(国内外の原子力産業に関する調査)報告書

掲載日: 2023年5月11日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課
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令和3年度原子力産業基盤強化事業 原子力の利用状況等に関する調査(国内外の原子力産業に関する調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、令和3年度に日本エネルギー経済研究所が実施した国内外の原子力産業に関する調査について書かれた報告書である。本調査の目的は、近年の原子力産業における事業環境の変化を踏まえ、原子力産業の基盤を支える優れた技術を有する企業への支援策を検討し、原子力産業の維持・強化に関わる政策立案に貢献することにある。調査は国内原子力産業の分析、海外原子力産業の分析、日本の原子力産業基盤強化に向けた課題の3つの柱で構成されている。国内原子力産業については、原子力事業を有する国内企業229社から47社を選定し、サプライチェーン構造の分析を実施した。原子力産業のサプライチェーンは6層構造で、Tier1のオペレータとEPC契約者から、Tier6の原料供給者まで段階的に構成されている。海外原子力産業については、米国、英国、フランス、ドイツ、韓国、カナダ、ロシア、中国の8カ国を対象とし、各国の政策動向と産業構造を分析した。各国の原子力産業構造には特徴があり、フランス、中国、ロシアは国営企業主導で重要機器の国産化が進んでいる一方、米国は民間主導で海外企業依存度が高い状況である。韓国は斗山重工業を中心としたサプライチェーンで約100%の国産化を達成している。日本の原子力産業基盤強化に向けた課題として、10年以上続く事業環境の停滞により技術継承と人材育成に大きな課題があることが指摘されている。報告書では、国策として原子力の重要性を明確化し、再稼働の加速化や長期にわたる事業安定化支援、人材維持に向けた教育研修支援などが提言されている。また、海外市場での日本企業の参画機会拡大に向けた支援や、既設炉の大型機器交換需要に関する情報共有体制の構築も重要な課題として挙げられている。