令和3年度原子力産業基盤強化事業 安全かつ合理的な廃止措置の実現に向けた課題解決プロセス・戦略の作成 報告書
報告書概要
この報告は、原子力発電所の廃止措置における安全かつ合理的な実現に向けた課題解決プロセス・戦略について書かれた報告書である。原子力産業基盤強化事業の一環として、商業用原子力発電所の廃止措置を安全性と効率性を両立させながら進めるため、産業界横断的な課題に対する業界連携体制の構築を目的としている。
報告書では廃止措置の安全の考え方について、運転中プラントとは異なるリスク特性を踏まえたリスクインフォームド規制の必要性を指摘している。廃止措置プラントは運転中プラントと比較してリスクが段階的に低下していくため、各段階に応じたグレーデッドアプローチによる規制が適切であるとしている。特に燃料取り出し、解体作業、廃棄物管理、サイト解放といった各工程において、事故として顕在化する可能性のあるハザードを体系的に分析し、リスクの見える化と定量化方法の検討を行っている。
廃棄物管理の在り方については、海外事例を参考にしながら実現可能性のある管理方法の選択肢を体系的に整理している。クリアランス対象物の処分・リサイクルの円滑化に向けては、集中処理事業の採算性確保のため他地域からの受入も視野に入れる必要があると分析している。また、ステークホルダーとの議論戦略として、社会実装を進めるためのコミュニケーション戦略の重要性を強調している。
業界連携体制については、廃止措置の合理化を目指すための具体的な施策を検討している。クリアランス検認プロセスの適正運用、地元企業の参入促進、廃炉材の活用等のデータ収集などの課題に対し、業界が連携して取り組む体制と役割分担を提案している。今後の活動では、リスクインフォームド規制の実現、廃棄物管理の出口確保、クリアランス検認プロセスの適正運用という三つの柱で業界連携を進めていく活動計画案を示している。