令和3年度原子力産業基盤強化事業委託費一般産業用工業品の放射線環境下の使用指針の整備事業 事業報告書

掲載日: 2023年5月11日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課
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令和3年度原子力産業基盤強化事業委託費一般産業用工業品の放射線環境下の使用指針の整備事業 事業報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、原子力施設における一般産業用工業品の放射線環境下での使用指針を整備するために実施された令和3年度の事業について書かれた報告書である。本事業は、原子力施設の廃炉作業や保守点検において使用される一般産業用センサ類の耐放射線性能を評価し、安全な使用基準を策定することを目的としている。

本事業では、光電センサ、近接センサ、トルクセンサ、測域センサの4種類のセンサに対して、異なる照射線量率(5Gy/h、50Gy/h、100Gy/h、150Gy/h)での照射試験を実施した。照射試験では放射線の照射方向による影響評価、個体差のばらつき評価、照射線量率による影響評価、裕度を考慮した使用可能な集積吸収線量の上限値評価を行った。その結果、各センサの正常動作限界となる集積吸収線量が明らかとなり、照射線量率や照射方向による性能への影響が定量的に評価された。

さらに、センサ類の耐放射線性向上を図るため、遮へい体を装着したカスタマイズセンサの開発と照射試験を実施した。光電センサと測域センサに対して鉛やタングステン等の遮へい材を用いた遮へい体構造を検討し、遮へい解析コードによる予備解析を経て、実際の遮へい体を製作した。カスタマイズしたセンサの照射試験では、遮へい効果により耐放射線性の向上が確認され、遮へい解析結果との比較により設計手法の妥当性が検証された。これらの成果により、原子力施設における一般産業用工業品の安全で効率的な活用に向けた技術基盤が構築された。