令和3年度原子力産業基盤強化事業 一般産業用工業品の採用における安全性・信頼性を確保する手法の整備 事業報告書

報告書概要

この報告は、原子力産業基盤強化事業における一般産業用工業品の採用手法の整備について書かれた報告書である。東京電力福島第一原子力発電所事故以降、原子力機器の需要が著しく減少し、サプライチェーン内の各調達先において原子力機器供給体制の維持が経営的に困難となっている。そのため調達先の原子力事業からの撤退が進み、サプライチェーン断絶のリスクが顕在化している。このリスクを回避する手段として、原子力施設向けに設計・製造されていない物品を購入し、原子力施設の安全機能に係る機器として使用できることを評価・検証した上で採用する方法がある。これは米国で開発された「Commercial Grade Dedication(CGD)」と称される手法であり、米国では規制、民間規格及び業界ガイドラインが整備されている。日本においても品管規則において一般産業用工業品の管理について言及されたことにより、この手法の適用が現実味を帯びるようになった。しかし具体的要領が記載されておらず、各購入者が単独で取り組んだ場合、規制や規格の解釈が不十分となり不適切な物品を採用するリスクが想定される。そのため業界標準要領となる一般産業用工業品採用ガイドラインを制定し、原子力業界における一定水準の管理要領を定める必要がある。令和2年度に事業実施4社が共同で一定水準の管理要領を検討し、「一般産業用工業品採用ガイドライン素案」令和2年度版を作成した。令和3年度は継続してデモンストレーションを完了し、得られた教訓をガイドライン素案に反映・改訂することにより、ガイドライン素案の更なる実効性向上を図った。