令和3年度デジタル取引環境整備事業電子商取引に関する市場調査 報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度における日本の電子商取引市場の実態について調査・分析した報告書である。経済産業省が実施した本調査では、BtoC-EC、CtoC-EC、BtoB-EC、越境ECの各市場規模の推計と動向分析を行っている。
日本のBtoC-EC市場規模は、物販系分野が13兆2,865億円(前年比8.61%増)、サービス系分野が4兆6,424億円(前年比1.29%増)、デジタル系分野が2兆7,661億円(前年比12.38%増)となり、3分野合計では20兆6,950億円に達した。物販系分野のEC化率は8.78%となり、新型コロナウイルス感染症拡大による巣ごもり消費の影響で前年から大幅に成長したものの、2021年は伸び率が鈍化している。
CtoC-EC市場規模は2兆2,121億円(前年比12.9%増)となり、リユース市場との関係性が深まっている。BtoB-EC市場規模は372兆7,073億円(前年比11.3%増)に達し、EC化率は35.6%と堅調な成長を示している。越境EC市場では、日本の越境BtoC-EC総市場規模は3,727億円となった。
市場トレンドとしては、DtoC(Direct to Consumer)モデルの浸透、サブスクリプションサービスの拡大、物流インフラの整備、スマートフォン経由の取引増加、SNSを活用した販売手法の普及が挙げられる。また、テクノロジーの進化がEC市場に与える影響として、AI・機械学習の活用、音声認識技術、VR・AR技術の導入が進んでいる。一方で、情報セキュリティに対する消費者の不安は根強く残っており、安全な取引環境の整備が課題となっている。スキルシェア系プラットフォームにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響で利用者が拡大しているが、サービス内容の相違や取引トラブルなどの課題も顕在化している。
