令和３年度原子力の利用状況等に関する調査（諸外国における原子力イノベーションの動向調査）報告書

この報告は、諸外国における原子力イノベーションの動向について書かれた報告書である。令和3年度に実施された調査では、米国、カナダ、英国、フランス、中国、ロシア、韓国の7か国を対象として、革新炉開発、安全性・経済性向上技術、原子力水素製造技術、組織マネジメントの4つの主要分野について包括的な調査が行われた。革新炉開発においては、各国で小型モジュール炉や溶融塩炉をはじめとする次世代原子炉の実証炉建設に向けた取り組みが加速しており、特に米国のARDPプログラムでは7年以内に2基の実証炉建設が目指されている。技術面では事故耐性燃料やモジュール工法等の要素技術開発が進展し、規制面では確率論的リスク解析や深層防護の適用方法について各国で検討が進められている。原子力水素製造については、カーボンニュートラル実現に向けた重要技術として位置づけられ、各国政府の支援体制や市場性の評価が実施されている。組織マネジメントの調査では、政府予算の変遷や民間イノベーション支援体制、国立研究所の機能変化等が分析され、民間主導による原子力技術開発の重要性が高まっていることが確認された。これらの調査結果は、日本における原子力イノベーション戦略の策定と実施において重要な参考情報となっている。