令和3年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(2050年カーボンニュートラルの達成に向けた水力発電等のポテンシャル調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、2050年カーボンニュートラル達成に向けた水力発電のポテンシャル調査について書かれた報告書である。資源エネルギー庁による委託事業として日本工営株式会社が実施し、既設大規模水力発電所の設備容量および発電電力量の増強手法について包括的な調査が行われた。調査内容は主に4つの分野から構成されている。第一に、米国、カナダ、欧州諸国およびアジア諸国における大規模水力発電所の増強取組事例を調査し、機電設備の高効率化や土木施設の改修による出力増加手法を分析した。第二に、国内の具体的な増強事例を収集し、水車発電機の更新、ダムの嵩上げ、水路の増設や拡幅、損失改善等の手法を類型化して整理した。第三に、水力発電ダムの湖面における水上太陽光発電の導入可能性について、発電用ダムリストの整理、机上検討対象ダムの抽出、ケーススタディによる設備容量と発電電力量の試算、必要な許認可手続きの整理を実施した。第四に、2030年、2040年、2050年の各断面における大規模水力発電所の増強ポテンシャルを定量的に試算し、将来見通しを提示した。調査により、国内の30MW以上の一般水力発電所180箇所を対象とした水車発電機更新による増出力効果や、水上太陽光発電の併設による相乗効果が定量化された。これらの結果は、温室効果ガス排出ゼロの実現に向けて、既存水力発電インフラの有効活用による再生可能エネルギー拡大の具体的な道筋を示している。
