令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(国際的サーキュラー・エコノミー政策が我が国経済に与える影響分析調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、国際的なサーキュラー・エコノミー政策が我が国経済に与える影響について分析した調査報告書である。令和3年度に実施された本調査では、特に電気電子分野と繊維分野に焦点を当て、欧州や中国における循環経済政策の動向を詳細に調査し、これらが日本産業に及ぼす影響を分析している。電気電子分野においては、日系企業の世界市場における存在感が完成品では限定的である一方、電子部品では一定のシェアを確保している状況が明らかになった。エアコンや冷蔵庫などの家電製品では輸入が輸出を大きく上回り、中国・台湾・香港との貿易が大部分を占めている。通信機器や電子部品の分野では、アジア、米国、EUとの貿易が中心となっており、特に輸入では中国との貿易額が半数以上を占める構造となっている。繊維分野では、グローバルなサプライチェーンが形成されており、欧州のサーキュラー・エコノミー行動計画における重点分野としての位置づけにより、再生材やバイオマス材の導入を含む環境配慮設計や製品表示義務化などの影響を受けやすい状況にある。中国では紡績産業に特化した強制的な循環経済政策は少ないものの、工業のグリーン化推進により環境規制が厳格化されている。調査結果を踏まえ、海外の循環経済政策による影響に対する施策の方向性として、最新情報の収集・分析、循環経済型事業による効果の把握・発信、新たな事業の創出・展開、動静脈連携の促進、技術開発支援などが提言されている。
