令和3年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(エネルギー供給構造高度化法に基づく非化石電源に係る認定業務及び非化石証書の利用価値向上に係る調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業について書かれた報告書である。日本ユニシス株式会社が経済産業省資源エネルギー庁から受託した事業であり、非化石電源に係る認定業務と非化石証書の利用価値向上に向けた調査が実施された。
事業の中核となるのは、2020年度より開始された非FID非化石電源に係る認定業務である。この業務は高度化法の執行業務の一環として実施され、非FIT非化石証書の信頼性を担保することを目的としている。具体的には、発電事業者や小売電気事業者からの申請に応じて非化石電源の登録を行い、一般送配電事業者から通知される電力量データに基づいて電力量の認定を実施している。卒FIT電源については過去のFIT制度での設備認定情報を活用し、大型水力等については発電事業者届を基に別途登録を行っている。
また、非化石証書の利用価値向上を図るため、電源種や発電所所在地等の属性情報を管理・追跡するトラッキングの試行が実施された。非FIT非化石証書については年3回または4回、FIT非化石証書については年3回のトラッキング試行が行われ、その結果がウェブサイトで公表されている。このトラッキング付非化石証書は2018年12月に国際的な環境団体等が推奨する再エネ調達手法として認められ、2019年度の取引量は10倍以上に増加した。
事業者ニーズの調査では、発電事業者、小売事業者、需要家、関係諸団体等へのヒアリングを通じて、現行トラッキングスキームに対するフィードバックが収集された。調査結果を踏まえ、制度課題の整理と改善策の検討が行われ、次年度から開始されるFIP制度や特定卸供給事業者制度への対応方法についても提言されている。さらに、非FIT相対取引分非化石証書へのトラッキング導入についても検討が行われ、具体的なスキーム案と実施上の留意点が整理されている。これらの取り組みを通じて、非化石エネルギー源の利用促進に必要な政策課題の整理・検討が一体的に実施されている。
