令和3年度コンテンツ海外展開促進事業(電子書籍市場の拡大等に関する調査)読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査報告書

掲載日: 2023年5月18日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局コンテンツ産業課
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令和3年度コンテンツ海外展開促進事業(電子書籍市場の拡大等に関する調査)読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等について書かれた調査報告書である。2019年に成立した読書バリアフリー法に基づき、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の普及・提供を図ることが求められている背景を受けて実施された調査である。電子書籍は読み上げや文字拡大が可能で、視覚障害者のみならず発達障害者や肢体不自由者にも利用しやすいが、市場規模は書籍全体の2割弱に留まり、特に教育・研究分野の電子書籍は極めて少ないという課題がある。

調査では、書籍等印刷データからテキストデータ化に関する実証事業、視覚障害者等の団体や図書館へのヒアリング調査、読書バリアフリー環境整備のための検討会の実施が行われた。実証事業では出版社13社に協力を依頼し、7社から協力を得て、学習参考書・学術書・文芸書等のテキストデータ抽出と校正に関するコスト測定と技術的課題の確認を実施した。ヒアリング調査では、障害種別による提供データニーズや利用実態について調査し、視覚障害者だけでなくディスレクシアや上肢障害等の利用者の課題も明らかになった。

調査結果から、テキストデータ提供によるメリットとして、点字・デイジー・テキストデイジー製作の効率化、利用者のアクセス時間短縮、文字確認・検索機能の利点が確認された。一方で、不正利用防止や合理的配慮の妥当性判断、図書館間連携の課題も浮き彫りになった。特に公共図書館職員の知識不足やサピエ図書館の活用率の低さ、点字図書館の利用制限等が指摘されている。報告書では、これらの課題解決に向けた方策について検討し、読書バリアフリー環境整備のための今後の取組方向性を提示している。