令和3年度補正取引適正化等推進事業(消費税に関する取引実態等調査事業)消費税転嫁に関する調査最終報告書
報告書概要
この報告は、消費税の転嫁に関する取引実態について書かれた調査報告書である。東京商工リサーチが令和3年度補正の取引適正化等推進事業として実施した書面郵送調査であり、令和4年7月と11月の2回、各回4万社を対象として消費税転嫁状況を分析している。調査対象は総務省「平成28年経済センサス」に基づく従業員規模分布と業種分布により無作為抽出された事業者で、回収率は7月調査26.8%、11月調査24.6%であった。
事業者間取引(BtoB取引)における価格転嫁状況では、「全て転嫁できている」と回答した事業者が両調査とも93%を超え、7月調査93.7%、11月調査93.1%という高い転嫁率を示している。転嫁できた理由として最も多いのは「以前より取引先において消費税率引上げ分の上乗せを受け入れるという理解が定着しているため」で約58%を占め、次いで「消費税転嫁対策特別措置法により消費税転嫁拒否行為が禁止されているため」が約30%となっている。
一方、転嫁できていない理由では「自社商品等の競争が激しく価格を引上げると他社に取引を奪われてしまうおそれがあるため」が最多で約36-38%を占め、「取引先の業界の景気が悪く消費税率引上げ分の上乗せを受け入れる余裕がないと考えられるため」が約29-31%で続いている。転嫁できていない事業者の取引先との協議状況では「協議はなかった」が6割を超えており、価格転嫁についての合意では「納得できないが仕事を継続したいためやむなく受け入れている」が過半数を占めている。時系列推移では平成26年4月の消費税率引上げ時から転嫁率は段階的に改善し、令和4年調査で93%台に達している。
