令和3年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業(CDMの運用に係る方法論及び信任に関する調査)報告書

掲載日: 2023年5月26日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局地球環境連携室
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報告書概要

この報告は、日本の二国間クレジット制度(JCM)の発展に資するため、クリーン開発メカニズム(CDM)の方法論および信任に関する動向を調査した報告書である。経済産業省が実施した令和3年度調査事業として、CDM理事会の下に設置された方法論パネルの活動状況、指定運営機関(DOE)の信任制度、およびパリ協定第6条との関連性について詳細な分析が行われた。調査では、2021年度に開催された第84回から第87回までの方法論パネルの議論内容を精査し、新規方法論の提案状況、既存方法論の改訂・明確化要請、横断的課題への対応について検討した。特に注目されるのは、海水淡水化の省エネ技術(NM0377)や製油所におけるメタン蒸気回収(NM0380)などの新規方法論提案である。また、CDMの信任制度においては、指定運営機関の地域別分布、監察状況、パフォーマンス評価の実施状況が分析され、アジア・太平洋地域に信任機関が集中している現状が明らかになった。さらに、COP26におけるパリ協定第6条の実施ルール合意を受けて、CDM理事会が第6条4項監督機関を支援する役割が明記されたことにより、CDMからパリ協定への移管に関する議論が活発化している。2021年以降にクレジット期間を残すCDMプロジェクトの分析では、再生可能エネルギー、メタン回収、省エネルギーなどの分野で継続的な排出削減活動が行われていることが確認された。これらの調査結果は、JCMの方法論開発、第三者機関の承認制度設計、およびパリ協定下での市場メカニズム構築に向けた重要な示唆を提供している。