令和3年度AIを活用した文書作成支援サービスを用いた法令執務の効率化に関する実証調査事業 調査報告書
報告書概要
この報告は、法制執務における文書作成支援サービスの活用効果について検証した実証調査に関する報告書である。今年の通常国会で発生した法案の誤りを受けて設置された省庁横断プロジェクトチームの方策として、FRAIM社が提供するクラウドサービス「LAWGUE」を試行的に活用し、法令改正業務の効率化と正確性向上への寄与度を検証している。
検証対象として、中小企業等経営強化法施行規則改正、電気事業法施行規則改正、化審法届出不要告示改正の3件の省令・告示を選定し、特に案文作成と審査プロセスに重点を置いて実施された。現状のプロセス分析により、改正対象の特定に多大な労力がかかること、メールとファイル添付による作業が属人化しやすく審査経緯や変更履歴のトレースが困難であること、形式面を含めた内容確認に時間と労力を要することという3つの主要課題が明らかとなった。
文書作成支援サービスの検証結果では、クラウド上での一元的なレビューと審査が可能となり、メールとファイル添付のやりとりが不要になることが確認された。また、コミュニケーション履歴を含めた審査経緯の組織的蓄積が実現でき、担当者が変更されても過去の経緯を追跡できる体制が構築される。さらに、変更履歴による差分表示機能により確認すべきポイントが明確化され、作業効率の向上が期待される。
今後の方向性として、業務フローの見直しとシステム活用、特に文書編集とコミュニケーションの効率化、データベースの最適化、第三者チェックの導入が有用であると結論づけている。デジタル法制局の検討会での議論を踏まえ、行政におけるデジタル基盤整備の一環として、本実証調査の成果を法制執務システム活用の方向性検討に活用すべきであるとしている。