令和3年度補正インド太平洋地域における DX等を通じた社会課題解決型のビジネス共創促進事業(アフリカ市場活力取り込み事業実施可能性調査事業)業務完了報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度補正インド太平洋地域におけるDX等を通じた社会課題解決型のビジネス共創促進事業(アフリカ市場活力取り込み事業実施可能性調査事業)について書かれた報告書である。
アフリカは人口増による高い潜在力を抱えるフロンティアであるが、日本企業の進出が十分でないため、ASEAN主要国に続く新興国市場としてアフリカ諸国への開拓の足がかりを作る必要があった。本事業では、日系企業のアフリカ進出とビジネス展開進展を促進することを目的として、デジタル技術の活用による社会課題解決に取り組む事業の創出支援が行われた。事業は独自FSと企業FSの2つの業務で構成され、企業FSについては公募により20社から応募があり、保健医療分野が最も多く農業、物流、金融分野が続いた。外部審査委員による書類審査とプレゼンテーション審査を経て、株式会社Dots for、サグリ株式会社、株式会社AfricaScanの3企業が選出された。また独自FSでは株式会社Sun Asteriskと Degas株式会社の2企業が選出され、計5社による調査が2022年6月から12月末まで実施された。Dots forのベナンでの分散型通信サービス実証では、農村住民への無線Wifiルーターとサーバ設置により、職業訓練動画の提供を通じて利用者の収入向上事例が確認されたが、農業従事者は農地での活動時間が長く村内通信網の利用時間が限定的であることが判明した。一方で個人事業者や母親のような村内で多くの時間を過ごす住民には高い効果が見られた。機材調達における税関手続きの複雑さや現地在庫不足、村長による新技術への受容性の違いなどの課題も明らかとなった。事業から得られた教訓として、収入増への即効性が重要であり、マイクロファイナンスと組み合わせた副業支援や充電サービスの展開により、アフリカ農村住民の社会課題解決を図る必要があるとの提言がなされている。
