令和3年度補正取引適正化等推進事業(印刷産業における取引改善等に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、印刷産業における取引改善等に関する調査について書かれた報告書である。我が国の印刷産業は出版印刷や商業印刷などを取り扱う重要な産業であるが、その大部分が中小企業であり取引上の立場が弱い状況にある。デジタル化の進展によるペーパーレス化や新型コロナウイルス感染症の拡大による国内需要の減少により、従来の系列取引が徐々に崩れ、取引先企業と印刷企業との間で取引上の問題が顕在化している。
中小企業庁の下請Gメンによる調査では印刷業界での多くの取引問題事例が認められており、原油価格や諸資材の高騰、エネルギーコストの上昇分が印刷価格に十分転嫁されていない事例も確認されている。このような状況を踏まえ、下請取引の適正化という観点から改善策として印刷業界団体による自主行動計画が令和4年3月に策定された。
本事業では、印刷産業の取引状況等の実態について印刷企業20社および取引先企業7社に対してヒアリング調査を実施した。調査項目は見積段階、発注段階、受領段階、支払段階における取引実態のほか、下請事業者への不当な要請、知的財産権の取り扱い、働き方改革を阻害する取引慣行、約束手形サイト短縮、約束手形廃止、労務費や原材料価格等の増加分の取引価格への転嫁状況などを含んでいる。また、有識者や印刷業界団体等から構成される検討委員会を4回開催し、幅広く意見を聴取した上で下請ガイドライン改訂案および印刷産業における取引改善等に向けた方策を取りまとめることを目的としている。
