令和3年度市場競争環境評価調査(ゲーム・アニメ市場におけるクリエイティブ人材の新たな活躍に資する競争環境の調査)報告書

掲載日: 2023年9月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 東北経済産業局産業部商業・流通サービス産業課
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令和3年度市場競争環境評価調査(ゲーム・アニメ市場におけるクリエイティブ人材の新たな活躍に資する競争環境の調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、東北地域におけるゲーム・アニメ産業のクリエイティブ人材育成と地方展開の可能性について書かれた調査報告書である。経済産業省東北経済産業局の委託により実施された本調査は、第四次産業革命の進行とデジタル人材不足、コロナ禍による働き方の変化を背景として、地方分散への契機となる中でコンテンツ産業に注目している。

ゲーム・アニメ市場は今後も拡大傾向が予想される一方、産業構造が東京や大都市に集積している現状がある。しかし、エンジニア確保とユーザー獲得を狙ったM&Aや地方拠点開設、UIJターンによる独立・移籍等により、地方部での産業振興の可能性が期待されている。地方出身で首都圏大手企業で働くクリエイティブ人材からも地方回帰による活躍を期待する声が多く、多拠点協働に対応できる業界特性から地方での産業振興が見込まれる。

調査では先行文献調査、企業ヒアリング、先進事例調査、アンケート調査を実施し、高知県、徳島県、北海道札幌市の事例を対象とした。アニメ業界では製作委員会方式やNetflixなどの配信事業者による単独出資方式が増加しており、制作体制は元請けから下請け、二次下請けまでの構造となっている。制作事業者の9割が東京都に集中し、特に都内西部に立地することから「アニメ産業は東京の地場産業」と称されている。

製作委員会方式は制作費高額化に対するリスクヘッジを目的とし、複数社出資によるリスク平準化により制作に注力できるメリットがある。著作権を製作委員会が保有することで2次利用拡大が進み、ヒット作品では莫大な収益を得られるが、これらの収益は出資社にのみ還元されるため、制作側と出資者側の収益格差が課題となっている。

調査結果として、仙台の地理的優位性、テレワーク・ワーケーションによる地域交流事業の取組み、子供向けアニメ制作体験プログラムなどの先進事例が紹介されている。仙台は東京から新幹線で1時間半という立地により、他の地方都市と比較して段違いの優位性を持つとされる。今後の提言として、東北地域のコンテンツ産業振興に向けた具体的な方策が検討されている。