令和3年度技術協力活用型・新興国市場開拓事業(インフラ海外展開支援)事業報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省委託による令和3年度技術協力活用型・新興国市場開拓事業について書かれた報告書である。本事業は、開発途上国におけるインフラ需要の拡大に対応し、質の高いインフラ整備に必要な現地人材の戦略的育成を目的として、一般財団法人海外産業人材育成協会が実施したものである。新型コロナウイルス感染症の影響により当初計画の受入研修や専門家派遣が困難となったため、事業期間を令和5年3月まで延長し、R3期間は遠隔研修、R4期間は対面研修として段階的に実施された。R3期間では3案件をWEB会議システムによる遠隔研修として実施し、インドネシアとマレーシアを対象に121名が参加した。対象分野は米国USTDAとの連携によるPPP事業、電力分野のディマンドリスポンス、APECにおける質の高いインフラ開発であった。R4期間では対面形式により4案件を実施し、インドネシア、ベトナム、カンボジア、ケニアを対象に112名が参加した。実施分野は地熱発電、小型衛星コンステレーション、水道事業効率化、港湾クレーン遠隔監視システムであった。遠隔研修では時間・コスト・地理的制約がない利点が確認された一方、深い理解や人脈形成には限界があることも判明した。対面研修では工場見学や実機演習により技術理解が深まり、キーパーソンとの人脈形成が進んだが、専門通訳の確保やファイナンススキームの検討が課題となった。本事業により各国の政府機関や民間企業の技術者に対し日本の質の高いインフラ技術への理解を促進し、今後の案件形成に向けた基盤を構築することができた。
