令和3年度産業経済研究委託事業(創造的思考及び創造的態度に関する調査研究)事業報告書

掲載日: 2023年10月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局産業人材課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和3年度産業経済研究委託事業(創造的思考及び創造的態度に関する調査研究)事業報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、創造的思考及び創造的態度に関する調査研究について書かれた報告書である。令和3年度に実施された産業経済研究委託事業として、日本の主に大企業における新規事業の成功率を高めるために必要な「個人やチームの創造的な態度と思考」について検討し、暫定的に定義することを目的としている。また、新規事業に関わる人々が自主的にそれを学ぶためのツールをプロトタイピングすることも目的としている。

日本企業は新しい製品・サービスを投入した企業の割合やマークアップ率が先進国の中で低水準にあり、付加価値の高い事業の創出で遅れをとっている状況がある。これは消費者の大方のニーズを満たす製品・サービスが市場に多く存在するため、既存のビジネスモデルや技術の延長線では消費者のニーズを十分に満たせなくなっていることが要因とされている。また、効率性を重視する組織では、新規事業の創出において求められる創造性が相対的に軽視されている傾向にある。

世界経済フォーラムが発表する「The Future of Jobs」において、日本で今後求められるスキルの第3位に創造性が挙げられるなど、その必要性は高まっている。創造性については、デザイン思考やアート思考に代表される思考法や創造的な態度が注目されてきたが、創造性は一部の天才的主体にのみ宿るものといった誤解や、特定の思考法への偏重が多く見られる。思考法のみが重視され、認知バイアスとの向き合い方やチームメンバーとの協同といった創造的な態度の育成は一般に軽視される傾向にある。

本調査事業では、デザイン思考やアート思考に代表される創造的思考法の特徴・内容及びそれらの習得方法を体系的に整理するとともに、それぞれの課題について分析を行った。さらに、これらの調査を踏まえ、組織やチームにおいて創造的思考及び創造的態度の習得を促すためのツールキットのプロトタイピングとユーザーテストを通じた効果検証を行った。ワークツールキットとして「創造性KPT」「イッチフイッチ」「ヒントの名人」という3つのプログラムが開発され、創造性への心理的ハードルを下げて多くの人に気軽に使ってもらえるよう、ゲーム形式のツールが作成された。