令和3年度補正「デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業(アーティスト等と連携した地域ブランドの確立に係る実証事業)」アートプロジェクトの担い手と公共空間制度等における相談窓口や専門家のネットワーク構築実証報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度補正「デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業」の一環として、アートプロジェクトの担い手と公共空間制度等における相談窓口や専門家のネットワーク構築について書かれた実証報告書である。
公益財団法人横浜市芸術文化振興財団が受託し、令和5年2月15日から3月31日まで実施された実証では、公共空間へのアート導入における行政窓口や専門家、ノウハウの複雑さという課題に対処するため、β版サイトを通じた相談や情報交換を行った。実証に向けて全国24都道府県から63件のアンケートを収集し、実践者のニーズが「条例変更・規制緩和」「ノウハウや先行事例の情報提供」「仲介・相談・伴走型支援」「行政窓口の一元化や見える化」にあることを明らかにした。
実証における工夫として、アートとまちづくり双方を理解する人材の発掘、相談者と伴走者の拡大と先駆的事例の発掘を同時に狙うアプローチ、WEBプラットフォームを活用したネットワーク形成を行った。実証結果では、秋田大介、岡田潤、尾嵜信、橋本誠、秋元康幸、山下裕子、青木彬、松田東子、齋藤貴弘などの専門家によるプロジェクトスタディとコラム執筆を通じて、アートと都市と公共空間に関するプロフェッショナルの紹介とマッチング基盤を構築した。
実証の成果として、日本各地のキーマンのネットワーク化が始まり、横浜市屋外広告物条例に関する企業からの相談案件が専門家ネットワークによって解決されるなど、具体的な課題解決の糸口となった。一方で課題として、相談窓口の数の不足、課題の抽出と体系化の未熟さ、プロフェッショナルがチームを組む際の専門性の組み合わせの検討不足が挙げられた。
今後の展開として、新チームの組成、アーツコミッション・ヨコハマの全国ネットワークの活用、連携したプロフェッショナルの全国ネットワークの活用、担い手の交流を目指した勉強会やイベント情報発信の実施が構想されており、自律的な全国ネットワーク形成による集合知的な取り組みを通じた課題解決を目指している。
