令和3年度補正予算水素、燃料アンモニア導入及びCCUS適地確保体制構築事業(包括的資源外交展開に向けた脱炭素化取組動向調査、アジアのエネルギートランジション支援等に関する調査等)調査報告書(公表用)

掲載日: 2024年7月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁資源・燃料部石油・天然ガス課
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令和3年度補正予算水素、燃料アンモニア導入及びCCUS適地確保体制構築事業(包括的資源外交展開に向けた脱炭素化取組動向調査、アジアのエネルギートランジション支援等に関する調査等)調査報告書(公表用)のサムネイル

報告書概要

この報告は、令和3年度補正予算における水素・燃料アンモニア導入及びCCUS適地確保体制構築事業の一環として、包括的資源外交展開に向けた脱炭素化取組動向調査及びアジアのエネルギートランジション支援等について書かれた報告書である。

報告書は日本のエネルギー戦略の多角化と脱炭素取組の加速化を背景として、従来の石油・天然ガスに加えて新資源である水素・アンモニアの安定供給確保の重要性を指摘している。日本は一次エネルギーの約9割を化石燃料の輸入に依存しており、その多くを中東からの輸入に頼るという構造的脆弱性を抱えているため、供給源の多角化が急務となっている。

世界的なカーボンニュートラル実現に向けた動きが高まる中、産油・産ガス国においてもCCS技術を活用したブルー水素・アンモニアや再生可能エネルギーの導入拡大等、脱炭素化に向けた取組が加速化している。特に中東では豊富な化石燃料資源と再生可能エネルギーポテンシャルを活用した脱炭素取組が活発化しており、これらの動向調査が重要な意味を持っている。

IEAが開発したETSAP-TIAMモデルを活用したシミュレーション検討では、世界30地域を対象とした水素の製造・輸送量と価格の分析を実施している。このシミュレーションにより、日本企業による競争力の高いクリーン水素等の国際サプライチェーン構築に向けて、政府が重点的に包括的資源外交に取組むべき対象国と対象分野の提言を行っている。

アジアのエネルギートランジション支援については、特に途上国における積極的な取組の必要性を強調している。アジア諸国ではエネルギー需要の拡大が見込まれており、経済成長と低炭素社会への移行の両立が大きな課題となっている。このため、各国の事情を反映し、あらゆるエネルギー源・技術を活用した多様かつ現実的なエネルギートランジションの推進が重要である。

報告書では、アジア開発銀行のエネルギートランジションメカニズムや世界銀行グループの国際低炭素水素パートナーシップなどの具体的な金融支援メカニズムも紹介している。これらは既存の石炭火力発電所からクリーンエネルギーへの転換を支援するブレンデッド・ファイナンス・プログラムであり、発展途上国における低炭素水素の普及促進を目的としている。