令和元年度戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(中小企業のAI活用促進に関する調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、中小企業のAI活用促進に関する調査について書かれた報告書である。2020年1月から3月にかけて実施された本調査では、中小企業におけるAI導入による生産性向上を目的として、全国の中小企業2,000社を対象としたオンラインサーベイと70社以上の企業・団体へのヒアリングを通じて、定量的・定性的な分析が行われた。調査の結果、2025年時点において中小企業のAI導入により最大11兆円の経済効果と160万人分の労働人口効果が推計され、特に効果が大きい5つの領域として製造業における予知保全、製造業・卸小売業における需要予測、全業界における経理関連業務効率化、卸小売業におけるデータマーケティング、製造業における不良箇所自動検出が特定された。また、中小企業のAI導入を阻む構造的要因として、経営層のAIへの理解と自分事感の不足、AIを開発・運用するリソースの社内不足が明らかになった。これらの課題に対する解決策として、地域のキーパーソンを媒介とした成功事例の横展開、AI導入インパクト上位5領域に注力した中小企業向けAI導入の仕組み構築が提案されている。具体的な導入事例として、相模屋食料の気象データを活用した需要予測による廃棄ロス30%削減、ゑびやの来客数予測による廃棄ロス72%削減と売上4倍増、セイラの画像認識技術による不良品検査の80%効率化などが紹介されており、中小企業においても適切なAI活用により大幅な生産性向上が実現可能であることが示されている。
