令和元年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等委託費(海洋における石油・天然ガス開発に係る保安調査)報告書
報告書概要
この報告は、海洋における石油・天然ガス開発に係る保安対策調査について書かれた報告書である。世界のエネルギー消費量の増加に伴い、石油・天然ガスの重要性が継続する一方で、枯渇や環境問題等の懸念から、従来の簡易な開発から脱却して複雑な地層や難地域での探鉱・開発が必要となっている。我が国においても、陸上油ガス田の発見が限定的であることから、排他的経済水域における海洋石油・天然ガス開発への期待が高まっており、第3期海洋基本計画の閣議決定や海洋エネルギー・鉱物資源開発計画の改定により、国主導での基礎物理探査促進が謳われている。2010年の米国メキシコ湾暴噴事故を契機として、世界的に安全対策や環境影響への配慮に対する規制が見直されており、経済産業省は平成25年度から3年間をかけて大水深における保安対策および環境対策の動向調査を実施してきた。本調査は、これまでの調査結果を踏まえ、海洋石油・天然ガス開発先進国である米国、英国を対象に、浅海域も含む保安に係る規制法令やガイドライン、官民の役割分担等を調査し、特に閉山時の対応について重点的に検討を行った。また英国、オーストラリアを対象とした環境影響評価については、試探堀段階から開発・生産段階まで拡張した調査を実施し、環境影響評価書の内容分析とインタビュー調査を行った。現在我が国の海洋開発には鉱業法、鉱山保安法、海洋汚染防止法等が適用されているが、今後の開発活発化に際しては国際法や国際動向を視野に入れた法整備が必要となる可能性があり、本調査結果が我が国の保安対策および鉱害防止対策の指針策定と将来の法整備に資することが期待されている。
