令和元年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(アジアにおける資源循環関連制度構築に向けた調査)報告書
報告書概要
この報告は、アジアにおける資源循環関連制度構築について書かれた報告書である。中国の固体廃棄物輸入規制をきっかけとして、日本の資源循環システムに大きな影響が生じており、これに対応するためアジア諸国における資源循環制度の現状と課題を調査したものである。調査対象国であるタイとインドネシアでは、電気電子機器廃棄物や使用済自動車などのリサイクル市場が拡大しているものの、適切な処理制度や技術基盤が十分に整備されていない状況が明らかとなった。タイでは年間約1600万台の家電製品が販売され約1.7億台の市中ストックが存在するが、廃棄段階での適正処理システムが未構築である。インドネシアにおいても同様の課題があり、インフォーマルセクターによる処理が中心となっている。中国の廃プラスチックや金属くず等の輸入規制により、これらの廃棄物の国際フローが大きく変化し、東南アジア諸国への輸出が急増した結果、各国でも規制強化が進んでいる。この状況は日本の循環産業に深刻な影響を与えており、輸出先のナショナルリスクや市場競争の激化による事業採算性の悪化が懸念されている。報告書では、この課題に対する解決策として、国内での再生資源・再生材の需要拡大、循環産業の効率化、国際資源循環システムの構築という三つの方向性を提示している。具体的には、サプライチェーン全体での再生材需要の創出、技術開発による処理効率の向上、輸出先国との規格統一や追跡システムの構築などが必要であると結論付けている。
