令和元年度中小企業実態調査事業(一般競争入札における一者応札に関する調査及び国の調達におけるベンチャー企業の参入拡大に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省における一般競争入札の一者応札問題および国の調達におけるベンチャー企業参入拡大について調査・検討した報告書である。
一者応札事業の改善に関しては、経済産業省が指定した40事業について調達手続および仕様内容の審査を実施した。審査項目は参入要件の最小化、事業実績の適切な評価、過去受託企業以外による受託可能性、評価構造の公平性など24項目に及ぶ。分析の結果、受託可能な事業者が存在するにも関わらず案件周知が不十分、仕様書や入札公告から新規応札が困難と判断される事項の存在などの問題が明らかとなった。
具体的事例として、公告時期の繁忙期との重複、声掛け対象の偏り、仕様記載の不明瞭さ、参考見積未取得、履行担保を目的とした関係性の薄い応札要件設定などが挙げられた。一方で、通常業務との相乗効果により他社を寄せ付けない経済性を実現している事業や、事業統合により契約総額は低下したものの一者応札となった事業も存在した。
ベンチャー企業の国の調達参入に関する調査では、アンケートおよびヒアリング調査を実施した。約75%のベンチャー企業が公共調達に取り組んだことがなく、そのうち約80%は将来的にも取り組む予定がない状況が判明した。参入のハードルとして、公共調達の認知方法、入札情報を常時観測する労力不足、検索困難性、行政担当者の技術知識不足、調達方法のミスマッチ、不確実要素を含む仕様などが指摘された。
また、応札判断における課題として自社事業との親和性、期待提案レベルと予算感の認識齟齬、最低価格落札方式の限界、地元要件のハードル、実績要件の欠落、法人認証取得の困難性が挙げられた。入札手続においては現地訪問の負担、技術提案書作成の負担、各種手続の分かりづらさが問題となっている。
対価確定・収益性の面では、経費積算基準と投資家が求める利益率の乖離、複数年事業における売上計上の難しさが課題として挙げられた。一方、公共調達のメリットとして企業の信用補完効果が強く認識されており、官公庁との取引実績が新規顧客開拓や資金調達において強力な信用力となることが確認された。