令和元年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業トルクメニスタン国における鉄道近代化事業調査報告書(ロシア語版)Технико-экономическое обоснование расширения качественной инфраструктуры за рубежом в 2020 г.Модернизация железных дорог в ТуркменистанеДоклад
報告書概要
この報告は、トルクメニスタンの鉄道インフラの電化を含む近代化について技術・経済的な観点から検討した報告書である。日本経済産業省の委託により、オリエンタルコンサルタンツグローバル株式会社が2020年2月に作成したものとなっている。研究対象は、トルクメンバシ・アシガバート・トルクメナバートを結ぶ東西回廊1176キロメートルの区間であり、既存鉄道の電化を中心とした近代化計画について詳細な調査が実施された。
報告書では、まずトルクメニスタンの人口、GDP、電力状況、環境概要といった基本情報を整理している。現在の鉄道部門の状況として、鉄道庁の組織構造、貨物・旅客輸送需要、運行状況、軌道や橋梁などの建設設備、駅舎、信号・通信システム、車両基地・工場の現状が分析されている。特に貨物輸送においては、化学製品、石油製品、綿花などが主要品目となっており、月別の輸送量や路線別の運行本数も詳細に把握されている。
基本計画の策定では、将来需要予測に基づいて複数の近代化案が検討された。需要予測では人口増加率やGDP成長率を考慮し、2040年および2055年における貨物・旅客輸送需要が算出されている。近代化案については、電化・複線化・信号システム更新などの組み合わせによる複数の選択肢が提示され、技術的・経済的評価により最適案が選定されている。第一段階の近代化計画では、軌道改良、建設構造物の整備、駅舎施設、電気システム、信号・通信システム、車両計画が具体的に策定され、プロジェクト費用と管理計画も算定されている。
環境・社会影響評価において、自然環境と社会環境の現状分析とプロジェクト実施による影響評価が実施された。さらに、プロジェクト実現の見通しと資金調達スキーム、実施スケジュール、日本企業の競争力強化、実現に向けた課題と行動計画が詳細に検討されている。日本企業の強みとして、電気機関車、電車、受変電設備、信号システム、車両基地・修理工場設備などの分野における技術的優位性が確認されている。
