令和元年度原子力の利用状況等に関する調査事業(諸外国の原子力研究機関における施設供与等の動向調査)
報告書概要
この報告は、令和元年度における米国、カナダ、英国の原子力研究機関で提供されている施設供与制度の動向について調査した報告書である。各国は地球温暖化対策と電力需要成長を背景に、小型モジュラー炉(SMR)や先進原子力技術などの次世代原子力技術のグローバル市場でのリーダーシップ確立を目指している。米国では、エネルギー省が運営するGAIN制度を通じて、スタートアップ企業を中心とした先進原子炉技術開発を支援し、国立研究所の試験施設や技術ノウハウをバウチャー形式で提供している。カナダでは、GoCoモデルの下、CNLが有する試験施設を民間企業に供与し、SMRの研究開発・実証・商業化を推進している。英国では、NNUF制度により、長年の新設停止で脆弱化した国内原子力技術開発能力の回復を図り、国立研究所と大学における試験施設への投資と研究支援を進めている。各国の制度は、民間企業による技術開発促進、人材育成、国際競争力強化を共通目標としながらも、それぞれの国内原子力政策と市場状況を反映した独自の特徴を持っている。今後、これらの制度が次世代原子力技術の商用化とグローバル市場での競争優位性確立に重要な役割を果たすと予想される。
