令和元年度化学物質安全対策(水銀管理に関する国際動向調査等)調査報告書

掲載日: 2020年5月20日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局化学物質管理課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和元年度化学物質安全対策(水銀管理に関する国際動向調査等)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、令和元年度において経済産業省が水銀による環境汚染の防止に関する法律に基づき、水俣条約に関する国際動向と水銀管理に関する調査を実施した報告書である。水俣条約第3回締約国会議の動向調査では、附属書A(水銀添加製品)の見直しに向けた作業が会期間作業として行われることが確認され、関係文書の翻訳と会議への参加により検討状況が把握された。特定水銀使用製品である水銀スイッチ・水銀リレーに関する技術的内容調査では、国内製造者等への詳細なヒアリング調査を通じて流通フローと代替技術の実現可能性が検討された。水銀式リードリレーは主に半導体検査装置に使用され、バウンスが起きない、高寿命、接触抵抗が小さい、大電流・高電圧対応可能といった特徴を有するが、代替製品への移行時には接触抵抗の増加や短寿命化等の課題があることが判明した。水銀式過電流リレーは電車車両や大型産業設備の空調・冷凍設備に使用され、水銀特有の流動性を利用した一定の動作遅延時間を実現できる特徴があるが、大電流設備での代替が困難である。水銀式感震スイッチはカセット式ポータブル暖房機器に使用され、接触抵抗が小さく耐久性が高い特徴を持つが、代替品は寸法が大きくなる課題がある。水銀の保管に関する調査では、経済産業省への報告状況の整理と貯蔵施設への現地調査を実施し、暫定保管指針と国内関係法令との比較分析が行われた。これらの調査結果は専門検討会での検討を経て取りまとめられ、水俣条約の着実な国内実施と2020年12月31日からの規制対象拡大への事業者対応の円滑化に向けた技術的基盤が整備された。