令和元年度「アジア地域における中小企業のSDGsビジネス展開のあり方」調査事業最終報告書

掲載日: 2020年5月20日
委託元: 経済産業省
担当課室: 近畿経済産業局通商部国際事業課
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報告書概要

この報告書は、アジア地域における中小企業のSDGsビジネス展開のあり方について書かれた報告書である。経済産業省近畿経済産業局が2020年2月に発表した本調査は、急速な経済発展に伴って社会・環境問題が顕在化しているアジア地域への中小企業の進出を対象として実施された。SDGsは2015年の国連採択から3年以上が経過し、民間セクターでの関心が高まっている中、関西SDGsプラットフォームの会員数も924団体を超える状況となっている。

本調査の目的は、SDGsの視点に立った中小企業の海外展開支援のあり方を検討し、中小企業のSDGsビジネス推進に向けた現状と課題を把握することである。また、社会課題の解決と事業収益の確保を両立するモデルについて調査を行った。アジア地域と関西地域は相互の発展に寄与する関係を構築しており、ASEANを中心としたアジア地域は関西との結びつきが強く、中小企業にとってSDGsビジネスに着手しやすい環境を有している。

調査手法として、アジア地域に既に進出している中小企業10社とSDGs支援を行う公的機関3機関に対するヒアリング調査、海外展開SDGsセミナーの開催、有識者による検討会議を実施した。これらの結果から、中小企業が抱える課題として、新興国のニーズを取り込めていない問題、公的な事業展開支援メニューの活用不十分、情報収集・分析に充当可能なリソース不足が挙げられた。

具体的な解決方策として、ビジネス機会の把握、現地ニーズに即した製品・サービスの設定、海外進出のフェーズ別の支援方策の活用が提示された。事例研究では、製粉機械販売、水質環境監視、廃プラスチックリサイクル、コーヒー製造業など多様な業種における成功要因が分析され、現地の文化尊重、現地人材活用、品質と持続可能性の両立などが重要であることが明らかになった。