令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(公的保険外・医療周辺サービス実態調査)調査報告書
報告書概要
この報告書は、公的保険外の医療周辺サービスの実態について調査した報告書である。日本医師会が令和元年度に実施した調査では、生涯現役社会の実現に向けて予防・健康づくりを支援する環境整備の必要性が高まる中、公的医療保険の周辺に位置するヘルスケアサービスの市場規模や現状を把握することを目的とした。調査は文献調査、インターネット検索、有識者へのヒアリングにより実施され、遺伝子関連検査、オンライン診療、セルフケア、リハビリテーション関連サービス、運動療法、美容医療、認知症検査など9つの分野について詳細に分析している。各分野においてサービス提供事業者、関連ガイドライン、市場規模の推計が示されており、特に美容医療が約3900億円、健康食品・サプリメントが約1兆5000億円の市場規模を有することが明らかになった。調査結果として、公的統計の整備が不十分であることから特に自由診療による医療費については粗い推計にとどまったことが指摘されている。今後の課題として、公的統計の整備、分野別ガイドラインの作成、医療関係者と民間事業者の相互理解促進、患者・利用者向け情報の充実が挙げられている。また、医療周辺産業の成長を推進する際には、健康寿命延伸、経済成長、社会公正の三つの側面をバランスよく実現することが重要であり、公的医療の役割を軽視することなく、広く国民がアクセスできる予防・健康づくりサービスの環境整備が求められるとしている。
