令和元年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(自家用電気工作物の点検におけるスマート保安の技術動向調査)報告書

掲載日: 2020年5月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ電力安全課
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令和元年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(自家用電気工作物の点検におけるスマート保安の技術動向調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、自家用電気工作物の点検におけるスマート保安技術の動向について書かれた報告書である。

電気事業法において、自家用電気工作物の保安管理業務は電気主任技術者による監督が義務づけされているが、一定規模以下の設備については外部委託承認制度により保安管理業務を外部に委託することが可能となっている。近年、固定価格買取制度の導入により太陽電池発電設備や風力発電設備を中心とした再生可能エネルギー発電設備数が急増している一方で、電気主任技術者の高齢化や入職者数の減少により将来的な人材不足が見込まれており、持続的な保安体制の構築が喫緊の課題となっている。

本調査では、需要設備、太陽電池発電設備、風力発電設備の3つの自家用電気工作物を対象として、電気主任技術者による保安管理業務の合理化・高度化に資するスマート保安技術について、導入効果等の調査・検討を実施した。調査方法としては、既存調査結果の再整理、月次・年次点検の現状把握、電気保安法人や電気管理技術者へのアンケート・ヒアリング調査、メンテナンス事業者との意見交換等を基に行われた。

調査結果として、需要設備においてはスマート保安技術の活用による点検頻度の低減が保安管理業務の合理化・高度化において特に有効であることが確認された。太陽電池発電設備においては、ドローンと赤外線カメラによる熱画像取得・診断技術等の現場作業支援技術の利用が有効であり、現場での業務時間を半分程度に削減できる可能性があることが明らかとなった。一方、風力発電設備については、風力発電設備特有の保安管理項目を電気主任技術者が直接確認することが少ないことが判明した。

スマート保安技術導入の効果として、需要設備では月次点検頻度の低減が可能である一方、普及には導入費用の一層の削減が必要であるとの結論に至った。電気主任技術者を中心としたステークホルダー関係図を作成し、各関係者のメリット・デメリットを整理した結果、スマート保安技術の活用を前提とした月次点検頻度の低減や外部委託承認制度における受託件数の増加が認められる場合、電気保安法人等を起点とした技術導入・開発の動きが活性化する可能性があることが確認された。