平成31年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査(国内電気計量制度のあり方に係る詳細調査分析)報告書
報告書概要
この報告は、国内外の電気計量制度のあり方について調査・分析を行った報告書である。送配電事業を取り巻く環境変化として、再生可能エネルギーの大量導入や分散型電源の普及、AI・IoT技術の進展により、電気計量や電力取引への新たなニーズが広がっている状況を背景としている。特に卒FITを始めとした分散型電源の拡大により、消費者自らが電力を販売する等の選択肢拡大に向けて、消費者保護を担保しつつ電気計量制度の柔軟化が期待されている。具体的には、IoT・通信技術の進展により消費機器毎のデマンドコントロールサービスや分散電源毎の電力販売サービスの可能性が広がっているが、機器毎の特定計量器での計量が必要であり、計量コスト増や設置困難という課題が指摘されている。また、計量技術の進展により特定計量器以外のコンセント計測器やスマート分電盤でも一定の正確な計量が期待され、スマートフォン等の新たなデバイスでの表示ニーズも出てきている。調査では欧州のEU計量器指令(MID)における有効電力量計の規制枠組み、ドイツ、イギリス、米国ニューヨーク州の計量制度を詳細に分析し、各国の規制機関、検定実施機関、必須要件、許容誤差、形式承認プロセス等を比較検討している。結論として、我が国では電力量計が特定計量器として包括的に規制されているが、諸外国では家庭用需要家向けには厳格な要件を規定する一方、電力市場参加事業者には電力関連法や系統運用者ルールに基づく柔軟な計量要件を適用している実態が明らかとなっている。
