令和元年度新エネルギー等の保安規制高度化事業(水素導管供給システムの安全性評価事業(地中及び大気中の水素拡散挙動調査))調査報告書

掲載日: 2020年6月23日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループガス安全室
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令和元年度新エネルギー等の保安規制高度化事業(水素導管供給システムの安全性評価事業(地中及び大気中の水素拡散挙動調査))調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、水素導管供給システムの安全性評価として地中及び大気中の水素拡散挙動について書かれた報告書である。水素導管システムの実用化を見据え、導管からのガス漏えい発生時における迅速な検知、位置特定、遮断措置、修理対応といった維持管理上の安全対策技術を調査することを目的としている。実施方法として、小規模容器による基礎試験、実フィールドでの大規模試験、シミュレーション解析の三段階で検討を行った。小規模容器試験では内径500mmの容器に真砂土を充填し、垂直構造体による水素拡散への影響を確認した。実フィールド試験では内径7.0mの地中模擬層を製作し、土砂部分0.7m、路盤0.35m、舗装0.15mの構造とし、水平構造体と垂直構造体を設置して地中障害物の影響を調査した。水素放出点を三箇所設定し、地中60点に水素センサを配置して濃度分布の経時変化を計測した。CFD解析により試験結果の再現性を評価し、舗装路下における水素拡散挙動のシミュレーション可能性を検証した。研究結果から、地中障害物は水素の拡散挙動に影響を与え、特に垂直構造体近傍では拡散パターンが変化することが確認された。また、水素供給停止後の濃度減衰挙動についても調査を実施し、安全な維持管理方法の確立に向けた技術的知見を得た。これらの成果は水素ガス工作物の技術基準整備に活用される予定である。