令和元年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業委託費(マレーシアへの使用済自動車リサイクルインフラ及び使用済自動車管理システムの展開可能性調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、マレーシアへの使用済自動車リサイクルインフラ及び使用済自動車管理システムの展開可能性について書かれた報告書である。株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所が経済産業省委託事業として令和元年度に実施した調査結果をまとめたものである。調査の背景として、マレーシアでは自動車普及に伴い使用済自動車の適切な処理が課題となっており、日本の質の高いインフラ輸出の機会として注目されている。調査はマレーシアの自動車リサイクル産業の実態把握、先進的使用済自動車管理システムの有効性検証、日本のインフラ輸出可能性の3つの観点から実施された。マレーシアの自動車市場調査では、ASEAN諸国の中でも高い自動車普及率を示しており、中古自動車市場やアフターマーケットも発達していることが確認された。法規制及び政策動向の調査では、国家自動車政策における使用済自動車処理フロー導入計画や関連法規制の整備状況が分析された。現地調査を通じて、使用済自動車の発生から回収、解体、再資源化、廃棄物処理に至るフロー全体の実態が明らかにされた。特に路上放置車両の問題が深刻であり、地方行政機関による回収体制の整備が重要な課題として浮上した。先進的使用済自動車管理システムについては、放置車両の根絶に向けた有効性が検証され、現地行政機関との連携可能性が確認された。日本のリサイクルインフラ輸出検討では、現地の手解体中心の処理方法に対し、日本の機械化された解体技術の導入により効率化が図れることが示された。収支モデル分析では、月間500台の解体処理により営業利益率10%の事業化が可能であることが算出された。中長期的な視点では、解体フロー以降の高付加価値化を目指し、シュレッダーダストの再資源化など日本の高度な技術ノウハウの提供による商流構築への寄与が期待される。
