令和元年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(資源循環の取組を実施する企業を評価するための手法確立に係る調査)
報告書概要
この報告は、資源循環の取組を実施する企業を評価するための手法確立について書かれた報告書である。近年、海洋プラスチックごみ問題や欧州のサーキュラーエコノミー政策推進を受け、ESG投資が拡大している中、温暖化対策の評価項目は確立されているものの、資源循環に関する評価項目は十分に整備されていない現状がある。本調査では、企業の資源循環への取組が市場・投資家から適切に評価される手法の確立を目的とし、文献調査と企業ヒアリングを実施した。
調査対象として、FTSE Blossom Japan Index、MSCI World ESG Leaders Index、東洋経済新報社のCSR企業総覧等の主要ESG投資インデックスを分析し、本田技研工業、ブリヂストン、富士通、リコー等の10社の資源循環取組状況を調査した。機関投資家はIR公開情報、マクロ情報、企業との対話、投資インデックスを活用して投資判断を行っており、各手法にはそれぞれ異なる特徴と評価観点が存在することが判明した。
調査結果から、資源循環を評価する指標を体制評価指標(アウトプット指標)と成果評価指標(アウトカム指標)に分類することを提案した。体制評価指標では戦略、ヒト、モノ、カネの4つの観点から、成果評価指標では調達、設計・製造、販売、回収の各業務プロセスから評価することが効果的である。具体的には、資源循環活動の指針有無、従業員教育状況、グリーン調達体制、研究開発投資方針、使用資源削減率、3R性を考慮した設計、サーキュラーエコノミー事業の売上割合、回収製品のリユース・リサイクル率等が評価項目として挙げられる。これらの指標により、企業の資源循環への取組を多面的かつ段階的に評価することが可能となり、投資家による適切な企業評価と資源循環社会の促進が期待される。
