令和元年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(デジタルガバナンスに係る定量的評価方法に関する調査研究)報告書
報告書概要
この報告は、企業のデジタルガバナンスを先端デジタル技術により定量的に評価する手法の開発について書かれた報告書である。
経済産業省が推進するDX推進指標やデジタルガバナンス・コードを基盤として、従来のアンケート形式による主観的評価に代わり、客観性の高い実質的な評価方法の構築を目指している。この取り組みは、企業が経営においてデータやデジタル技術の活用を適切に位置付けるデジタルガバナンスの向上を支援し、Society5.0社会の実現に寄与することを目的としている。
評価手法として「Disrupt」と「visiongram」という2つの手法を設計し、実際に4社の協力を得て検証を実施した。Disruptでは、企業が注視するリスクシナリオをスコア化し、業界レポートとの比較により抜け漏れを確認できることが判明した。Visiogramでは、DXビジョンの浸透度を定量的に測定し、企業間比較を可能にするとともに、経済産業省の成熟度レベルとの対応関係を確認できた。
検証結果から、影響を与える技術ごとにスコアの高低が確認でき、対象企業がどの技術によるリスクシナリオを重視しているかを把握可能であることが分かった。また、集合知技術を活用したスコアリングにより、高評価ばかりを付ける参加者に対しては自動的に浸透度が低くなる設計となっており、虚偽の評価を防止する仕組みが組み込まれている。
今後の展望として、業界の主要企業が参画して業界レファレンスデータベースを構築することで、各社のリスクシナリオカバー状況をより詳細に把握できるようになると想定されている。さらに、参加者の属性を拡大し継続的な測定を実施することで、企業の実態により迫ることが可能になると考えられている。
