令和元年度新エネルギー等の保安規制高度化事業(水素燃料電池ドローン等に係る基準作成の検討等に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、水素燃料電池ドローンの安全基準作成とプラント内ドローン活用に関する安全性調査について書かれた報告書である。令和元年度に実施された新エネルギー等の保安規制高度化事業の一環として、ドローンの産業利用における安全性確保と技術基準整備を目的とした調査研究が行われた。第Ⅰ部では、水素燃料電池ドローンに搭載される高圧ガス容器の安全性評価試験を実施し、落下衝撃に対する耐久性や安全性を検証している。衝撃試験では複数のケースを設定し、容器の破損状況やバルブの気密性を詳細に評価した結果、技術基準案の策定に必要な知見を取得した。水素燃料電池ドローンは従来のバッテリー式と比較して長時間飛行が可能である一方、高圧ガスを取り扱うことによる特有のリスクが存在するため、安全な活用を実現するための技術基準とガイドラインの整備が重要である。第Ⅱ部では、石油化学コンビナート等のプラント設備内部におけるドローンの活用に関する実証実験を実施し、タンク内部の腐食状況確認等の有効性を検証した。実験では出光興産千葉事業所のドームルーフタンクを対象とし、壁面の溶接線や天井部のボルト、腐食配管サンプルの撮影を行った。その結果、足場を必要とする高所の目視検査が可能となり、腐食や損傷状況の一次検査には代替可能性があることが確認された。しかし、腐食深さの定量評価には別途計測手段が必要であり、防爆規制への対応等の課題も明らかとなった。本調査により、水素燃料電池ドローンの技術基準案とプラント内ドローン活用のガイドライン改訂に向けた基礎的知見が整理され、産業保安分野におけるドローンの安全な活用推進に貢献する成果が得られた。
