令和元年度産業経済研究委託事業(規制改革による新規事業創造に係る調査)報告書

掲載日: 2020年6月26日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局産業創造課
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報告書概要

この報告は、規制改革による新規事業創造について書かれた報告書である。近年の急速な技術進展により、FinTechやHealthTechなどの革新的な製品・サービスが数多く開発されているが、従来の産業分類に当てはまらない新産業として位置づけられている。しかし、これらの革新的な製品・サービスの中には、現行の規制がボトルネックとなり社会実装に至っていない事例が存在する。現行の規制は従来の産業を想定した設計になっており、近年の産業構造の変化に対応していないことが主な理由である。

報告書では、日本における規制改革ツールとして、グレーゾーン解消制度、サンドボックス制度、新事業特例制度の現状と課題を分析している。これらの制度は事業者のイノベーティブな活動をサポートしてきたが、より良い制度運用に向けて効果検証と課題検討が必要とされている。また、米国、カナダ、英国などの海外における規制改革の取り組み状況を調査し、官主導と民主導の両方のアプローチを分析している。

さらに、新事業創出のためのルールメイキングには、政府だけでなく多様なプレイヤーの力を活用した「ルールメイキングエコシステム」の構築が重要であると提言している。企業法務、弁護士、パブリックアフェアーズ企業等のプレイヤーがエコシステムに参加することで、より広範囲かつ効率的にルールメイキングが進む可能性がある。ルールメイキングには人件費等のコストが発生するため、中長期的な投資が必要であり、得られる便益の大きさに応じて公平に費用分担することが望ましいとしている。規制の見直し方向性として、ルールの新解釈、新規ルール作成、既存ルール削減・緩和、官民によるルール作成の四つのオプションを提示し、最も費用対効果の高いオプションを選択する必要があると結論づけている。