令和元年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業委託費(東部インドネシアにおける洋上天然ガス発電プラント及びLNG配送チェーン実施可能構想追及と新エネルギー需要創出の事業性調査)

掲載日: 2020年6月26日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局国際プラント・インフラシステム・水ビジネス推進室
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報告書概要

この報告は、インドネシア東部地域における高品質エネルギーインフラの海外展開事業機会に関する実現可能性調査について書かれた報告書である。

三菱重工業、静岡ガス、丸紅の三社共同によるこの調査は、インドネシア東部における液化天然ガス(LNG)配送システムと発電所(LDPP)プロジェクトの事業実現可能性を検討したものである。インドネシア政府は2019年に発表した基本政策において、再生可能エネルギーの拡大とガス火力発電への転換を掲げており、特に多島嶼国家である同国においてはパイプライン建設が困難なため、LNGによる仮想パイプラインシステムの重要性が高まっている。

プロジェクトの主要な検討内容として、小型LNG運搬船と浮体式貯蔵再ガス化設備(FSRU)を活用した海上LNG配送システムの構築、土地収用問題を回避する海上設置型ガス火力発電設備の導入可能性が挙げられる。また、従来の発電用途に加えて、冷熱利用による製氷・冷凍・貯蔵設備、精製・製鉄等の産業用電力、民生用コージェネレーション等の新たなエネルギー需要創出についても詳細な検討が行われた。

北スラウェシ州を対象とした現地調査では、マナド、リクパン、ビトゥンの三地域における病院、ショッピングモール、ホテル、缶詰工場等の潜在的な天然ガス需要が分析された。LNG輸送方法についても、日本の事例を参考にコンテナ輸送方式の検討が実施された。事業スキームとしては、B-to-B方式、配送部門のPPP方式、配送・サテライト統合PPP方式の三つの選択肢が提示されている。

財務分析では、各発電所の条件設定に基づくキャッシュフロー分析が実施され、社会経済分析においては便益費用分析や感度分析を通じて経済的な実現可能性が評価された。特に小規模サイトの財務実現可能性向上策として、モロタイ島での事例を基にした最適な設備投資額と運営方式の検討が行われた。環境面では、従来の石油・ディーゼル燃料からガス燃料への転換によるCO2削減効果が定量的に評価され、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献も言及されている。